器の底に秘められた思い

器の裏からは、

この器はどなたに作られたものなのかが見えてきます。


民芸派の河井寛次郎さんや濱田庄司さんを除いて、大抵の陶芸家さんは、裏に、「陶印」を記しています。押印の場合もあれば手書きの場合もあり色々な形で自らを表す「印」を残されています。

この「印」は、いわば作家の「サイン」です。

この印からは、「この器は私が思いを込めてつくりました」という陶芸家の強い意志をみることができます。


青い器、茶色っぽい器、白い、透明なガラスの、、絵柄が描かれている、、、

もともとは器に対しての印象はその程度で、絵柄がプリントなのか手書きなのかも判断がつかない、、というか興味を持たないような人でした。

ましてや器の裏をわざわざ見るという機会はほとんどありませんでした。

それが、陶芸家の方の作品に触れるようになったことで、器の裏に秘められた陶芸家の思いを知りたいと思うようになりました。


陶芸家の方がわかるということは、いつ頃の器なのかへ繋がっていきます。

また、どの地域で作られたのか、また何焼なのかも見えてきます。


これらが見えてくることで、今この手の中にある器が、

・〇年以上前に、

・この陶芸家さんが一つ一つ作った

・〇〇(地域)で作られた〇〇焼の器なんだ


と感じとることができます。


また、古い陶芸家の作品に触れることで、

街にあふれる半自動化され大量生産されている器のデザインの原点が、

どこから来ているのかに気づくこともできます。

このよく見かけるモダンな器の原点が、実は百年近い前の有名な陶芸家さんの器だったんだ、そんな頃にこんな素敵な器を生み出していたなんて、、


器の底に秘められた思いを知ることから広がる世界の大きさに、日々感嘆しています。






陶印から豊かな陶芸の世界へ ~陶印博士~

コロナにより、自宅での生活への意識が変化する中で、毎日を彩る器への意識もまた強く変化してきたと感じています。 何気ない食卓に並ぶ器も、陶芸家の思いやその地域や時代背景をみつめることで、一つ一つの器に込められた 温もりをより深く楽しむことができると思います。 そのような陶芸作品をみつめる心を育むお手伝いができればと願っています。

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